2023年2月1日「院外心停止に対する包括的治療体制の構築に関する研究(日本救急医学会多施設共同院外心停止レジストリ)」へのご協力のお願い

研究の背景および目的

わが国では、救急搬送を要した全ての院外心肺停止患者の患者情報、病院前救護(プレホスピタルケア)情報、転帰情報が総務省消防庁によって記録されています。そのデータベースを用いた研究により、院外心停止の転帰を改善するための多くの研究成果が報告されてきました。しかしながら、消防庁所属の救急隊員によって記録、管理しているという特性上、主にプレホスピタルケアに関する情報、および転帰に関する情報は含まれているものの、病院到着後および入院中の患者および治療に関する情報を欠いていることが研究上の大きな制約となっていました。
本研究は、日本救急医学会主導のレジストリで病院到着後および入院中の患者および治療に関する情報を包括するデータベースを構築し、プレホスピタルケアだけでなく病院到着後の治療まで考慮に入れて、院外心停止の転帰改善する治療戦略を検討することを目的としています。
(日本救急医学会院外心停止レジストリホームページ:http://www.jaamohca-web.com/)

研究方法

日本救急医学会の管理する院外心停止レジストリに東京大学医学部附属病院救急部へ搬送された院外心停止患者に関するデータを、個人情報を含まず、個人を特定できない方法(匿名化データ)で登録致します。
データ利用に際しては、日本救急医学会に対し「データ利用許可申請書」を提出して審査を受け、許可を得た場合は連結不可能匿名化されたデータの提供を受け、これを用いて解析を行います。

1) 対象

日本全域で発生し、救急隊が蘇生処置を実施し、レジストリ参加医療施設に搬送された院外心停止症例

2) 評価項目

主要評価項目:1ヶ月後の神経学的転帰、副次的評価項目:1ヶ月後生存率

3) 主要解析

院外心肺停止患者の疫学調査、病院到着後の各種治療効果に関する群間比較および多変量解析

4) 観察,および検査項目

①基本情報登録

<病院情報>

都道府県、病床数(集中治療室(ICU)病床数、小児集中治療室(PICU)病床数)、救急病院種別、スタッフ数(医師、看護師)、専門医種別

<患者情報>

性別、年齢、救急隊時刻情報(覚知時刻、病院収容時刻)、適格基準

②ウツタイン(病院前救護)記録

救命救急士乗車、医師同乗、普段の生活状態、心肺停止の目撃、発生場所、居合わせた人(バイスタンダー)による心肺蘇生、市民による除細動、救急隊時間経過(覚知時刻、現場到着時刻、患者接触時刻、隊員による心肺蘇生開始時刻、病院収容時刻)、救急隊到着時の状態、救急隊等活動中の医師による2次救命処置、救急隊到着時の最初の心電図波形、除細動、最終気道確保器具、静脈路確保、エピネフリン投与、病院収容前の心拍再開

③病院到着後記録

病院収容時刻、ドクターカー・ドクターヘリ出場、病院収容後の最初の心電図波形、中枢温度、身長・体重、病院収容後処置(除細動、気管挿管、体外循環、補助循環、心血管カテーテル検査、心血管ステント留置、低体温療法)、心停止中薬剤使用、患者背景、血液データ、CPAに至った原因、病院搬入後の状態、発症1ヵ月後生存、発症90日後生存、発症1ヵ月後の脳機能、発症90日後の脳機能 (*②のウツタイン記録は、消防本部が通常業務として記録している行政資料で、個人を識別できる情報を含まない部分については、情報公開法に基づく情報公開の対象となるものを、データの管理をしている総務省消防庁に申請し利用する。)

研究協力の任意性と撤回の自由に関して

この研究にご協力いただくかどうかは、患者さん本人(またはご家族)の自由意思に委ねられております。しかしながら、本研究は院外心肺停止となった患者さんを対象としているため、心肺蘇生中という時間的制約の中、研究に関する説明を事前に十分に行うことは現実的に困難です。また、院外心停止から意識が回復する可能性は決して高くはなく、多くの場合で事後に説明し同意を得ることも困難と見込まれます。本研究は、介入を行わず診療録から情報収集を行うのみで、通常の診療行為から逸脱することがないことから、同意書の形式はとらず、ホームページ上で常時研究に関する情報開示を行い、事前に不参加の意思表明ができる体制を十分に整えることで、不参加の申し出がない場合の研究への協力の同意と代えさせていただきます。
研究への不参加の意思表明は自由に行うことができます。研究にご協力いただけない場合にも、皆様の不利益につながることは一切ありません。
なお、収集したデータは匿名化し日本救急医学会の管理するデータベースへ登録されますが、データベースのデータは連結不可能匿名化されるため個人を特定することはできず、従ってデータベースへ登録後のデータを削除することはできません。
本研究は、我が国の救急蘇生の発展のために行われる社会的に重要かつ公益性の高い研究です。ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

個人情報の保護

この研究にご参加いただいた患者さんの情報・データは、東京大学医学部附属病院救急部により、氏名・住所・生年月日などの個人情報を削って個人が特定できないよう匿名化された状態で日本救急医学会多施設共同院外心停止レジストリへ登録され、その後連結不可能匿名化された状態で研究施設へ提供されます。そのためこの研究に関する個人の情報につきましては、対象となる患者さん本人(またはご家族)にもお知らせすることはできません。

研究結果の公表

研究の成果は、研究にご参加いただいた患者さんの個人情報が明らかにならない状態で、学会発表や学術雑誌及びデータベース上等で公表致します。結果について、個人的なお問い合わせがあった場合、個人の情報については前述のようにお伝えすることはできません。また、全体の結果についても学会発表や学術雑誌及びデータベース上等で公表する結果以外に関してはお伝えすることはできません。

研究協力者にもたらされる利益および不利益

この研究が、研究にご参加いただいた患者さんに直ちに有益な情報をもたらす可能性は高いとはいえません。しかし、この研究の成果は、今後の心肺停止患者さんに対する救急蘇生の発展に寄与することが期待されます。したがって、将来、社会全体にとって利益をもたらす可能性があると考えられます。

研究終了後の資料(試料)等の取扱方針

東京大学医学部附属病院救急部で収集したデータおよび、日本救急医学会多施設共同院外心停止レジストリより提供を受けた資料(データ)は、この研究のためのみに使用いたします。

研究参加者の費用負担

今回の研究に必要な費用について、患者さん本人(またはご家族)に負担を求めることはありません。なお、患者さん本人(またはご家族)への謝金は、ありません。

研究から生じる知的財産権の帰属

この研究によって生じる可能性のある知見についての知的財産権は、研究にご参加いただいた患者さん本人(またはご家族)には帰属致しません。

この研究は、日本救急医学会学会主導研究評価特別委員会、東京大学医学部倫理委員会、および本レジストリ参加各施設の倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。実施期間/対象期間は2027年5月31日までとし、研究期間は登録後1年間の解析期間を設け、2028年5月31日までとします。本研究における東京大学医学部附属病院救急部で担当するレジストリ登録、および研究に要す費用は、東京大学大学院医学系研究科救急医学講座(東京大学医学部附属病院救急部・集中治療部)の研究費から支出されています。
本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。
ご意見、ご質問などがございましたら、お気軽に下記までお寄せください。

お問い合わせ先

実施責任者 東京大学医学部附属病院救急・集中治療科  医師 土井 研人
連絡担当者 東京大学大学院医学系研究科 救急医学    医師 堀江 良平
東京都文京区本郷7-3-1 電話 03-3815-5411

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研修についてのお問い合わせTRAINING INFORMATION

研修についてのお問い合わせはこちらからお問い合わせください。

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東京大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学教室

〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
TEL:03-3815-5411(代表)