2023年2月1日JSEPTIC-DIC studyおよびEUPHRATES trial 参加された方へ
はじめに
当院ではJSEPTIC-DIC STUDYおよびEUPHRATES TRIALに参加された患者様の匿名加工データの二次解析を行うことで、敗血症において有害となるエンドトキシンを吸着除去するためのPolymyxin B Hemoperfusionの治療効果が患者背景によって異質であることを同定し、同治療法の適切な治療適応を検討することを目的に研究を行います。
研究課題
敗血症患者に対するPolymyxin B Hemoperfusionの治療効果の異質性の同定と適応の検討
研究機関名及び本学の研究責任者氏名
この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
研究機関 | 東京大学医学部附属病院 救急・集中治療科 |
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研究責任者 | 土井研人 教授 |
担当業務 | データ取得、統計解析、論文執筆 |
共同研究機関
この研究が行われる共同研究機関と担当者は次に示すとおりです。
研究機関 | 虎の門病院 |
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研究責任者 | 大沢樹輝 |
担当業務 | 論文執筆 |
研究機関 | 東北大学病院 |
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研究責任者 | 工藤大介 |
担当業務 | 論文執筆 |
研究機関 | 北海道大学病院 |
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研究責任者 | 早川峰司 |
担当業務 | 論文執筆 |
研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
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研究責任者 | 山川一馬 |
担当業務 | 論文執筆 |
研究機関 | 東北大学病院 |
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研究責任者 | 久志本茂樹 |
担当業務 | 論文執筆 |
既存試料・情報の提供のみを行う者
提供機関 | University of Pittsburgh |
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責任者 | John Kellum |
機関の長 | Derek Angus |
担当業務 | 情報の提供 |
この研究に利用する試料・情報は共同研究機関の範囲のみで利用されます。
研究期間
承認後〜2027年11月30日
対象となる方
JSEPTIC-DIC study(J Intensive Care.2016;4:44)およびEUPHRATES trial(JAMA.2018;320(14):1455-1463)に参加された方
研究目的・意義
グラム陰性菌の外膜の一部であるエンドトキシンは、宿主の免疫反応と多臓器不全を引き起こすことが知られています。そのため敗血症において、エンドトキシン血症による臓器不全の進行を防ぐために、体外血液浄化法であるPolymyxin B Hemoperfusionによるエンドトキシンの吸着除去が行われてきました。
しかしABDOMIX trial (Intensive Care Med. 2015;41(6):975-984)やEUPHRATES trial (JAMA. 2018;320(14):1455-1463) においてPolymyxin B Hemoperfusionの敗血症患者の死亡率減少に関する臨床的有用性が示されるには至りませんでした。これらの臨床試験の結果を説明する仮説として、Polymyxin B Hemoperfusionの効果が患者によって異質である(効きやすい患者と効きにくい患者が存在する)可能性が挙げられました。
そのため私たちは、過去に実施されたJSEPTIC DIC studyおよびEUPHRATES trialのデータを用いた2次解析によって、Polymyxin B Hemoperfusionの治療効果の異質性を同定するとともに、適切な治療適応を検討することを目的とした研究を計画しました。
本研究によって得られた結果を用いて、適切な治療適応に基づいたPolymyxin B Hemoperfusionの臨床現場での活用が進めば、敗血症患者における予後の改善に有用と考えられます。
研究の方法
JSEPTIC-DIC STUDYのデータに機械学習を適用し、集中治療室入室時の潜在的交絡因子で調整した後の28日生存率に対するPolymyxin B Hemoperfusionの治療効果の異質性を検討する予定です。推定された個人レベルでの治療効果に基づき、敗血症患者におけるPolymyxin B Hemoperfusionの最適な適応基準を検討します。導き出されたPolymyxin B Hemoperfusionの適応基準を、EUPHRATES trialのデータを用いて検証を行います。
この研究に使用する情報は以下の項目です。
年齢、性別、感染部位、血液培養結果、APACHE IIスコア、SOFAスコア、血液検査データ(血算、生化、凝固)、入院中に同時に施行された治療内容、予後データ
なお、研究計画書や研究の方法に関する資料を入手・閲覧して、研究内容を詳しくお知りになりたい場合は、末尾の連絡先にお問い合わせください。他の研究対象者の個人情報等の保護や研究の独創性確保に支障がない範囲でご提供させていただきます。
個人情報の保護
この研究に使用される情報・データは、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
取得した情報・データは、研究責任者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコンで厳重に保管します。すでにどの個人のものか特定できない状態で取得されたデータのため、あなたの試料や資料・情報等を特定することはできません。そのため、同意を取り消すこと、研究への参加を取りやめることはできません。
研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌、国内(及び海外)のデータベース等で公表します。
取得した情報・データは厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。保管期間終了後には、専用のソフトを使って、別のデータに書き換えることによって復元不可能な形とすることで廃棄します。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。
尚、提供いただいた試料・情報の管理の責任者は下記の通りです。
試料・情報の管理責任者
所属:東京大学医学部附属病院 救急・集中治療科
氏名:土井 研人 教授
本研究の結果として知的財産権等が生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、民間企業を含む共同研究機関及び研究従事者等に属し、研究対象者はこの特許権等を持ちません。また、その知的財産権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。
この研究に関する費用は、東京大学医学部附属病院における運営費交付金から支出され、本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。尚、あなたへの謝金はございません。
この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。
2023年2月1日
お問い合わせ先
研究責任者:土井 研人
連絡担当者:堀江 良平
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部附属病院 救急・集中治療科
Tel: 03-3815-5411